行商

 

 ◆行商とは◆

 

  行商とは、店舗に商品を陳列してお客さんを待つのではなく、商品を持って移動し1軒1軒訪ねて販売するという営業方法です。最近は焼き芋、わらび餅、豆腐、物干し竿等が1軒1軒の訪問はないものの地域巡回している様子をまだ見られるでしょうか。

 このような一般的な意味の行商は、電話等で注文があって商品を届けるという配達とは区別されますが、古物営業法の行商はもっとシンプルに「自分の営業所(お店)以外の場所で古物の取引(買取、販売等)をすること」を指します。つまり一般家庭などを飛び込みで訪問しても、電話連絡があって訪問することも、古物営業法の行商に含まれます。他に道路、公園、駐車場、デパート等の催事場、フリーマーケットなどで商品を並べて古物を販売することや、古物商が古物市場に出入りして競りによる仕入れを行うことも行商です。

 

 

 ◆行商をするには◆

 

  行商をするには、許可申請時に「行商をする」を選択するか、変更届(この場合は書換申請になる)で「行商をする」に変更する必要があります。とにかく、許可申請や変更届の時に営業所として記入した場所以外で、古物の取引をすることはすべて行商に該当しますので、そうした予定がある場合には必ず「行商をする」と記載された許可証を得るようにしてください。

 

 

 ◆営業場所の制限◆

 

  「行商をする」と記載された許可証を持っていれば、営業所以外の場所でも古物の取引ができるようになりますが、古物取引ならどこでも、どんなことでもできるようになるというわけではありません。と言っても、立入禁止区域に入ってはいけないとか、その場所で営業をするには権利者の許諾が必要という話ではありません。

 「行商をする」だとどこでもできるようになるのは、古物の販売のみです。古物を買い受けたり、交換する場合は、自分の営業所か取引の相手方の住所・居所に限定されます。これは取引の相手方が古物商以外の場合にのみ適用されるので、古物商同士であればどこでも取引できます。

 意外とやってしまいがちなのは、古物商が商品の仕入れのためにフリーマーケットに出入りして、一般の出品者から古物を買い入れる行為ですが、これは営業場所の制限に違反した行為になります。

行商を・・・ する しない
取引の相手方が・・・ 古物商 古物商以外 古物商 古物商以外
自分の営業所で販売
自分の営業所で買受等(※1)
取引の相手方の住所・居所で販売

(※2)

×
取引の相手方の住所・居所で買受等

(※2)

×
古物市場で販売

×

(※3)

× ×
古物市場で買受等

×

(※3)

× ×
上記以外の場所で販売 × ×
上記以外の場所で買受等 × × ×

※1 買受等には、買受、交換、さらに売却、交換の委託を受ける行為が含まれます。

※2 取引の場所が相手方の営業所であれば可能です。

※3 古物市場には古物商の許可を持っている人しか入れません。

 

 

◆行商をする際の義務◆

 

■古物営業法第11条■
第1項
  古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならない。
第2項
 古物商は、その代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)に行商をさせるときは、当該代理人等に、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければならない。
第3項
  古物商又はその代理人等は、行商をする場合において、取引の相手方から許可証又は前項の行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。

 

 

  古物商が行商に出かける際に気をつけるポイントは3つです。

 1.古物商本人は許可証を持っていく!

 2.その他の従業員等は行商従業者証を持っていく!

 3.取引の相手方に見せてと言われたら、それらを見せる!

 

 また、項を改めてお話しますが、取引の相手方の家に訪問販売、訪問購入をしに行く場合には、「特定商取引に関する法律」についての知識も必要ですし、取引に使用する書面等の準備も忘れないようにしましょう。