帳簿への記録

 

◆帳簿への記録はなぜ必要?◆

 

 防犯三大義務の最後の1つは「帳簿への記録」です。取引の相手方の身元を確認しただけでは、時が経つにつれその相手方から、いつ、どんな古物を、どれだけ買ったのかという情報を忘れていってしまいます。そこで、相手方の情報と、その時に取引した古物の情報をリンクさせて記録に残しておく必要が生じます。

 

■古物営業法第16条■
 古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿若しく は国家公安委員会規則で定めるこれに準ずる書類(以下「帳簿等」という)に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければならない。ただし、前条第2項各号に掲げる場合及び当該記載又は記録の必要のないものとして国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した場合は、この限りでない。
第1号
 取引の年月日

第2号
 古物の品目及び数量

第3号
 古物の特徴

第4号
 相手方(国家公安委員会規則で定める古物を引き渡した相手方を除く)の住所、氏名、職業及び年齢
第5号 

 前条第一項の規定によりとつた措置の区分(同項第一号及び第四号に掲げる措置にあつては、その区分及び方法)

 

 

 

◆帳簿へ記録すべき場面◆

 

  古物商は、売買、交換のため、または売買、交換の委託により、古物を受け取った時に帳簿へ記録する義務が生じます。相手方の確認義務は、「買受、交換、または売却、交換の委託を受けた時」で、古物商が商品を売却する時が除かれていましたが、帳簿へ記録する義務は「売買」となっていますので、売却する時も含まれます。

 

 

◆帳簿へ記録すべき事項◆

 

  帳簿へ記録すべき事項は下記の5項目です。

 ①取引の年月日

 ②古物の品目及び数量

 ③古物の特徴

 ④相手方の住所、氏名、職業、年齢

 ⑤確認義務がある取引については、相手方を確認するために取った措置の方法

 

◆記録の方法◆

 

  記録は下記の方法によってします。

 ①帳簿

 ②帳簿に準じる書類(取引伝票など所定の事項を取引ごとに記録できるもの)

 ③コンピューターによるファイル

 

 

◆帳簿への記録が免除される場合◆

 

 《すべての取引において帳簿への記録が免除される場合》(法第16条但書前段)

 ①対価の総額が1万円未満の取引の場合(法第15条第2項第1号)

 ただし、下記の物品について対価の総額が1万円未満であっても確認義務は免除されません。

 ・バイク、原付(部品を含む。ただし、ねじ、ボルト、ナット、コードなど汎用性のある部品は除く=免除)

 ・家庭用ゲームソフト(テレビゲーム、パソコンゲームなど)

 ・音楽や映像が記録された光学式記録メディア(CD、DVD、レーザーディスクなど)

 ・書籍

 

 ②自分が売却した物を、その売却した相手方から買い受ける場合(法第15条第2項第2号)

 

 

《売却、交換のために古物を引き渡す際に帳簿への記録が免除される場合》(法第16条但書後段)

 下記の物品以外の古物を引き渡す時は、帳簿への記録が免除されています。(規則第18条第1項)

 ・美術品類

 ・時計、宝飾品類

 ・自動車(部品を含む)

 ・バイク、原付(部品を含む。ただし、対価の総額が1万円未満の部品を除く)

 

 

《帳簿への記録のうち一部の項目を省略できる場合》(法第16条第4号・規則第18条第2項)

 古物である自動車を売却などのために引き渡した場合は、記録が必要な事項のうち「相手方の住所、氏名、職業、年齢」を省略することができます。

 これは自動車登録制度による登録された情報で追跡可能だからです。