欠格事由

 

 ◆古物営業許可の欠格事由(古物営業法第4条)◆

 

 古物営業の許可を受けるには、欠格事由に該当しないことが必要となります。欠格事由は、個人申請の場合は申請者本人、法人申請の場合は役員の全員につき該当しないことが求められます。後述の管理者の欠格事由と合わせて、よくお読みのうえ該当しないことを確認してください。

 

 

 ①成年被後見人・被保佐人・破産者で復権を得ない者(古物営業法第4条第1号)

  心身の障害により成年被後見人、被保佐人として登記されていたり、破産者で復権を得ていない方は、許可を受けることができません。添付書類のうち、身分証明書及び登記されていないことの証明書によって証明される事項ですので、不明な方はこれらの証明書を取得するという方法もあります。

 

 ②禁固以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(同条第2号)

 犯罪の種類を問わず、法令に違反し禁固以上の刑に処せられた方は、刑期満了の日等から5年間は許可を受けられません。執行猶予がついている場合は、猶予期間中は許可を受けられませんが、猶予期間が終了すれば許可を受けられるようになります。

 

 ③特定の犯罪を犯し罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者(同条第2号)

  刑法第247条(背任) 、同法第254条(遺失物等横領) 、同法第256条第2項(盗品の運搬、保管、有償譲渡、有償の処分のあっせん)等の罪、古物営業法違反のうち、無許可営業、許可の不正取得、名義貸し、営業停止命令違反で罰金の刑に処せられた方は、刑期満了の日等から5年間は許可を受けられません。執行猶予がついている場合は、猶予期間中は許可を受けられませんが、猶予期間が終了すれば許可を受けられるようになります。

 ここに挙げられた犯罪は、古物営業をするための資質と特に密接な関連を持つため、犯罪の程度が軽く罰金刑にとどまったとしても、許可を与えないということです。

 

 ④住居不定者(同条第3号)

 

 

 ⑤許可の取り消しから5年を経過しない者(同条第4号)

 許可を取り消されたのが法人であった場合は、当時役員であった方も該当します。

 

 ⑥許可取り消しの聴聞が公示されてから、聴聞手続きが完了するまでに許可証を返納した場合は、返納から5年を経過しない者(同条第5号)

 許可取り消し処分逃れの目的で、処分に先立って許可証を返納した場合も、第4号に準じて取り扱われます。

 

 ⑦営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者(ただし、古物商又は古物市場主の相続人で法定代理人が欠格事由に該当しない未成年者は除く)(同条第6号)

 原則として未成年者(20歳未満)は古物し営業の許可を得ることができません。ただし、その例外が3種類あります。

 まず、成年者と同一の行為能力を有する未成年者は許可を得ることができます。これには2つのパターンがあり、1つは「婚姻した未成年者(既に離婚した者を含む)」で、もう1つは「営業に関し法定代理人の許可を得た未成年者」です。これらは民法によって成年擬制(年齢は未成年者だが成年者とみなすこと)されるため、成年者と同一の行為能力を有することになるからです。

 さらにもう1つの例外は、古物営業法第4条第6号の但書の部分です。許可を申請しようとする未成年者が、古物商を営んでいた方の相続人であり、申請時の法定代理人が欠格事由に該当しない場合は許可を受けられます。

 

 ⑧営業所ごとに管理者を選任しないと認められる者(同条第7号)

  申請書の管理者欄が空白である場合は当然許可を受けられませんが、管理者欄に記載された方が欠格事由に該当する場合や、遠隔地に住んでいて管理者として適当でない場合は、許可を受けられません。

 

 ⑨法人において、その役員に第1号から第5号までの事由に該当する者がある場合(同条第8号)

  許可を申請しようとするのが法人の場合、法人の役員全員について第1号から第5号の欠格事由に該当しないことが必要となります。第6号は除かれていますので、役員の中に未成年者がいても欠格事由には該当しません。

 

 

 

 

◆管理者の欠格事由(法第13条第2項)◆

 

  古物商の営業許可を取得しようとする場合、法定の責任を果たす必要から、営業所ごとに1人の管理者を置かなくてはなりません(法第13条第1項)。また、 警察署からの問い合わせ等に速やかに対応することができるよう、その管理者は常勤性を求められ、複数の営業所の管理者を兼任することはできません。さらに、管理者はただいればいいというものではなく、古物営業について法令を熟知し、その営業所において他に従業員がいる場合は適切に管理・監督・指導できる ことが求められます。

 

 ①未成年者(法第13条第2項第1号)

 先ほどの古物営業許可の欠格事由にも未成年者が出てきましたが、その内容が大きく違うのでご注意ください。第4条の未成年者には3つの例外がありましたが、こちらは条文上「未成年者」とだけされているので、20歳未満の方は一切管理者となれません。

 成年年齢の引き下げ等が話題になっていますが、将来民法が改正されて成年年齢が18歳とされた場合は、18歳になれば許可を得られることになるかもしれません(民法改正と同時に古物営業法も改正されて欠格事由が「20歳未満の者」とされたらその限りではありませんが…)。

 

 ②法第4条第1号から第5号のいずれかに該当する者(同条同項第2号)

 上記、古物営業許可の欠格事由のうち①~⑥を参照してください。