その他の義務

 

 前項までで古物営業において特に重要な義務である防犯四大義務についてお話してきましたが、他にも様々なルールがあります。お役立ち情報(申請編)で既にお話しした内容もありますが、改めてまとめてみました。

 

 

 ◆許可証を紛失した時は◆

 

■古物営業法第5条第4項■
 許可証の交付を受けた者は、許可証を亡失し、又は許可証が滅失したときは、速やかにその旨を公安委員会に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。

 

 許可証を何らかの理由で紛失、滅失等してしまった時は、管轄警察署に許可証の再交付申請書を提出しなければなりません。また、その後に紛失した許可証が発見された時は、発見された許可証を警察署に返納しなければなりません。(法第8条第1項第3号)

 

 

 

 ◆申請内容に変更があった時は◆

 

■古物営業法第7条■
第1項
 古物商又は古物市場主は、第五条第一項各号に掲げる事項に変更(同項第二号の所在地の変更にあつては、同一の公安委員会の管轄区域内におけるものに限る。)があつたときは、公安委員会に、国家公安委員会規則で定める事項を記載した届出書を提出しなければならない。 
第2項
  二以上の公安委員会の管轄区域内に営業所を有する古物商又は二以上の公安委員会の管轄区域内に古物市場を有する古物市場主は、第五条第一項第一号又は第 七号に掲げる事項に変更があつたときは、前項の規定にかかわらず、そのいずれか一の公安委員会に同項の届出書を提出しなければならない。この場合におい て、当該届出書の提出を受けた公安委員会は、当該届出書に記載された内容を関係する他の公安委員会に通知するものとする。

第4項
 第一項又は第二項の規定により届出書を提出する場合において、当該届出書に係る事項が許可証の記載事項に該当するときは、その書換えを受けなければならない。

 

 許可申請の内容(または直近の変更届の内容)に変更が生じた時は、警察署に変更届を提出しなくてはなりません(法第7条第1項)。

 また、複数の都道府県をまたいで営業所を持っている許可業者が、「氏名又は名称、住所又は居所、法人の代表者の氏名(法第5条第1項第1号)」、「法人の役員の氏名及び住所(同条同項第2号)」を変更する時は、いずれかの都道府県に属する警察署に変更届を提出します(法第7条第2項)。

 このとき書類を提出する警察署は、最初に許可証の交付を受けた警察署(営業所の移転をしていない場合)か、最後に移転した後の営業所を管轄する警察署です。営業所移転の変更届を出すというケースでは、今回移転した先の管轄警察署ではなく、現在の管轄警察署が窓口となります。

 なお、変更届のうち許可証の記載事項に関わるものは、許可証の書換申請をする必要があります(法第7条第4項)。

 

 

 

 

 ◆許可証を返納しなければならないときとは◆

 

■古物営業法第8条■

第1項

 許可証の交付を受けた者は、次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、遅滞なく、許可証(第三号に掲げる場合にあつては、発見し、又は回復した許可証)を公安委員会に返納しなければならない。

第1号  その古物営業を廃止したとき。

第2号  第三条の規定による許可が取り消されたとき。

第3号  許可証の再交付を受けた場合において、亡失した許可証を発見し、又は回復したとき。

第2項

 前項第一号の規定による許可証の返納があつたときは、第三条の規定による許可は、その効力を失う。

第3項

 許可証の交付を受けた者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつたときは、当該各号に定める者は、遅滞なく、許可証を公安委員会に返納しなければならない。

第1号  死亡した場合 同居の親族又は法定代理人

第2号  法人が合併により消滅した場合 合併後存続し、又は合併により設立された法人の代表者

 

 次のいずれかに該当することになったときは、許可証を返納しなくてはなりません(法第8条第1項)。

 ①古物営業を廃止したとき(第1号)

 ②許可を取り消されたとき(第2号)

 ③紛失等を理由に許可証の再交付を受けた場合で、紛失等した許可証を発見したとき(第3号)

 ※③の場合に返納するのは、発見した古い方の許可証です。

 

 また、次のいずれかに該当することになったときも、許可証を返納しなくてはなりません(法第8条第3項)。

 ①個人で許可を得た場合で、その事業主が死亡したとき(第1号)

 同居の親族か法定代理人が返納の手続きをします。葬儀などで多忙かつ気落ちされているときだとは思いますが、忘れずに手続きまたは行政書士への代行依頼をしましょう。事業主の方は、万一の場合に備えて事業を始める際に、ご家族に伝えておくと安心です。

 ②法人で許可を得た場合で、合併により法人が消滅したとき(第2号)

 合併後に存続する法人の代表者(吸収合併の場合)または新たに設立された法人の代表者(新設合併の場合)が返納手続きをします。なお、許可を得ている法人が存続する吸収合併のケースでは、その許可は有効なままですので、返納する必要はありません。また、①の場合と異なり、法人の代表者が死亡してもただちに許可が無効になるわけではなく、法人の代表者を変更する旨の変更届を提出すればそのまま古物営業の事業を継続することができます。

 

 

 

◆名義貸しの禁止◆

 

■古物営業法第9条■

 古物商又は古物市場主は、自己の名義をもつて、他人にその古物営業を営ませてはならない。

 

 許可を得た古物商等は、その許可名義を他人に貸して古物営業をさせてはいけません(法第9条)。名義貸しが有償であると無償であるとを問わず禁止されています。これを認めると許可制度の意味がなくなってしまうからです。

 

 

 

◆許可証等の携帯及び提示義務◆

 

■古物営業法第11条■

第1項 古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならない。

第2項 古物商は、その代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)に行商をさせるときは、当該代理人等に、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければならない。

第3項 古物商又はその代理人等は、行商をする場合において、取引の相手方から許可証又は前項の行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
対象者 古物商(許可申請者)(法第11条第1項) 代理人等(従業員)(法同条第2項)
携帯が必要な場面 行商、競り売りをするとき 行商するとき
携帯するもの 許可証 行商従業者証
提示が必要な場面 行商時に取引の相手方から求められたとき(法同条第3項)

 

 

 

◆標識の掲示義務◆

 

■古物営業法第12条第1項■

古物商又は古物市場主は、それぞれ営業所若しくは露店又は古物市場ごとに、公衆の見やすい場所に、国家公安委員会規則で定める様式の標識を掲示しなければならない。

 

 古物商等は、営業所、露店(行商)、古物市場の見やすい場所に、定められた様式の標識を掲示しなければなりません(法第12条第1項)。古物営業法施行規則で定められた様式は下記の通りです。